炎の檻 02




冷房のよく効いた少し肌寒さを感じる講義場の一室。誰もが落ちてきそうになる瞼を必死で堪えながら、かりかりとノートにシャーペンが擦れる音が響いている。
教授の平坦な声だけが聞こえている。―――俺の周囲を除いて。


「おーい、東雲くーん」


俺の隣に腰掛け、その重たそうな顎を机に乗せてやる気のない声で俺の名を呼ぶ。
講義が始まってずっと続けているその呼び掛けを裏切らず、半分も使ってない大学ノートは綺麗に真っ白だ。 きっと前に書かれている字もなめくじが這ったのか、という程にぐにゃぐにゃだろう。
講義が終わるまで後約10分。
俺もいい加減飽き飽きしていた所だし、と開いていたノートを静かに閉じて、隣に座る男に目を遣る。
森野は待ってましたとばかりに目をきらきらさせ、やる気なしの状態から一気に体を起こして俺に詰め寄った。


「うわ!ちょ…近過ぎだって」


くっつきそうな程近寄ってきた森野の顔を、手を伸ばし顔を背ける事で回避する。
昨日蘇芳が嫉妬してくれた事は嬉しかったが、不機嫌になった蘇芳の相手をするのは大変だと思い至ったからだ。
避けられた事にむっと頬を膨らます森野だが、それよりも嬉しい事があったのかすぐに体を離して顔に合わない笑いを浮かべた。


「東雲さぁ、近々彼女でも出来るんじゃないの?」
「はぁ?そんな予定、ないんですけど」
「いやいやいや、謙遜するなって」
「……謙遜じゃなくて、本気で言ってるんだけど」


何故か浮かれている森野に聞こえないように、ぼそりと呟く。


「ほら、昨日の彼女いたじゃん。やっぱり、東雲に気があるみたいだよ」
「なんで?」
「お前らが帰った後さ、俺、置いていかれたじゃん?んで、勇気を振り絞ってデートに誘ったわけよ」
「デートぉ?」


はいはいと呆れた口調で返せば、またもやぶすっとした顔と目が合った。どうやら、森野の心は繊細なようだ。少し笑えるが、俺の心の中だけにしておこう。


「それで?」
「……駅前の喫茶店でお茶してたら、彼女に東雲の事を根掘り葉掘り聞かれたってわけ。でも俺は東雲の事なんて全然知らないだろ? なんせ、昨日がまともに喋った仲だからさ」
「ふーん」
「あ、興味ねぇ顔すんじゃねぇよ、ここからが重要なんだからさ」


そう言って森野はがさごそと机の下に置いてあった鞄を漁っている。 鞄の中はちゃんと整理されていないのか、これだ!と思って摘み出したらしきハズレ物が次々と机に陳列されていく。
5、6個ハズレ物が陳列された頃、漸く目当ての物が鞄の中から出てきたらしい。森野の手に握られているのはよれよれのしわしわになった1通の手紙だ。
まさか……という顔でじっとその手紙を見つめる。


「じゃじゃーん。ラブレターでーす」
「ラブ……レター…」


ひゅーと木枯らしが舞っているような気もするが、敢えて無視だ。
しかしラブレター。人生初めて貰ったラブレターが昨日知り合ったばかりの変な男の手にあり、しかもしわくちゃ。 あーあ、ついてないよ俺……って言いたい所だが、昨日の今日でラブレターはないだろう。
十重二十重にも被っていそうな猫の皮を捨て去り、俺をきっと睨みつけてきた篠宮。
彼女と話す”だけ”というデートを済ませてにっこりと微笑んでいる森野の手から恐々と手紙を受け取った。 きっちりしたタイプの性格なのか、きれいに糊付けされて封をされていた。
気前良くついでとばかりに鞄の中からミニカッターを取り出した森野の手からさらにそれを借りて、封を切る。


「………」


時間にして数秒。その間森野が期待の篭った目で俺を見ていた。
手紙を読み終えた俺は綺麗に折り目のついた便箋をその通りに折り畳んで再び封筒の中に仕舞った。 本当はくしゃくしゃにしてゴミ箱にでも入れておきたいのだが、後で森野がゴミ箱を漁ってでも読みそうなので鞄の中に片付ける。


「で、なんて書いてあったんだ?」
「特になにも」
「なにもー?そんなわけないだろ。何時に何処何処でって指定があっただろう?」


なんで森野がそんなに詳しく聞きたがるんだよ、ってくらいにしつこい。
確かに、「何時に何処何処で」という指定はあった。指定された場所は人気の少ない裏庭。ちょっとした森と隣接するこの大学で、その森の入り口にあたる裏庭だ。 大学案内のパンフレットにも載らないような寂れた区域。こんな所で告白するのはうってつけだろうが、如何せん相手は篠宮だ。
それに幸い俺はこの講義で終わり。森野は後1つ残っている。サボってまでついて来ようとは思わないだろう。
チャイムより早く講義を終わる事で生徒に親しみを持たれている教授が、テキストを小脇に抱えて出て行った。 その後を追いかけるわけではないが、俺も一足早く教室を出た。
後ろから「東雲ー」と森野の声が追ってくるが、待つ筋合いはないし追いつかれても困る。森野を撒くように複雑に入り組んだ道を進み、裏庭へと向かう。
途中蘇芳に連絡でも入れておこうかな、とジーンズのポケットから携帯を取り出したが、考え直して再びポケットに仕舞った。






学部の違う見た事のない数人と擦れ違い、木々が鬱蒼と密集する森の入り口へと足を運ぶ。 その足取りは決して軽いとは言えないが、程なくして裏庭の姿が見えてきた。
用務員のおじさんやおばさんもここには滅多に来ないのか、風で運ばれてきた木の葉やゴミがあちこちに散乱している。 庭の中央に根付く太い幹の木がさらに濃い影を落としていた。
その木の下に置かれた古いベンチ。
近づいて一角の葉や埃を払い、腰掛けた。左腕にした時計の指す時間は2時35分頃。指定された時間はなんとも中途半端な40分。タイミングとしては丁度いいだろう。 だが、まるで俺の講義が終わるのを知っていたかのように指定された時間に、背筋が冷えた。
かさかさと緑を踏み締める音がして、顔を上げたそこにいたのは―――。






少し茶色い髪を結ばずに下ろした篠宮が、毅然と顔を上げて真っ直ぐに向かって来る。 手には…というか肩にはテキストの形に膨れているおしゃれな鞄が掛けられている。


「こんにちは」


目前に立った篠宮に我ながら間抜けだとも思うあいさつをするが、もちろん返事はない。
俺の第一声を見事に無視した篠宮は、周囲に誰もいない事を確認するようにきょろきょろと辺りを見渡している。 当然忘れ去られた裏庭にくるような物好きはいないわけで、細く伸びた俺の影とそれに覆い被さるような小柄な影が見えるだけだ。
篠宮はようやく視点を一点―――つまりは俺に定めて、いきなり切り出した。


「単刀直入に言うわ」


小さくはないが俺からしてみれば十分小さい部類に入る篠宮が、その体を大きく見せようと胸を張って薄い口紅を引いた口を開いた。


「あなた蘇芳くんのなんなの?蘇芳くんから離れてよ」


やっぱりと苦い思いで笑う。こういう台詞を聞いたのは初めてではないが、何度経験しようと面と向かって言われると結構心に突き刺さるものだ。
それに蘇芳くんのなんなのよ、と言われても大口叩けるような関係じゃない。 大人しく黙っていてもさらに言い募られるだけだし、ああだこうだと反論しても噛み付かれるだけなので、ここはいつものように聞いているフリをして聞き流すにまかせた。 激情が過ぎれば彼女も少しは落ち着く事だろう。


「ねぇ、聞いてるの?」
「……ん」
「返事くらい、したらどうなのよ」


抵抗しない俺をいい事にとんと軽く肩を押す。肩甲骨の辺りにベンチの上端が当たるが、あまり力が入っていなかったので別段痛くはない。
だがむっとくるのは仕方のない事で、聞き流すに留めるつもりがつい口を挟んでしまった。


「…押すなよ」
「な、なによ!なにも言わないあなたが悪いんじゃない」
「じゃあ言わせてもらうけど、君こそ蘇芳のなんなの?僕に尋ねる前にそれくらいちゃんと答えろよな」
「なっ……!?」


予想だにしなかった俺の反抗に違いない。気持ちとしては、長年飼っていた大人しい猫に友人や彼氏の愚痴を言ってたら噛みつかれた、という所だろうか。
激昂して赤く染め上がっていた顔が今は蒼白い。わなわなと唇が震えている。


「わ、私が蘇芳くんのなんなのかですって?」
「ああ」
「そんなの……恋人に決まってるじゃない!」
「――っ!?」


吊り上り気味の目が醜く笑んでいる。だがそんな事よりも、俺は冷水を浴びたように体ががたがたと震えていた。
恋人―――。蘇芳の恋人は俺じゃなかったっけ?と考える。しかしそういえばと思い起こされるのは、過去の日々。あの頃は俺を抱きながらも別の女の痕跡があった。 また、繰り返すのか……?と頭の中が白く染まる。
それでもなんとか持ち直したのは、森野に嫉妬する蘇芳の顔を思い出したから。


――俺が蘇芳を信じなくてどうする!


恐らく目の前に篠宮という障害物がいなければ、思いっきり自分の頬をひっぱたいて檄を入れていた事だろう。


「……君が蘇芳の彼女なわけないよ」
「あら、どうして?」
「俺は蘇芳から、彼女ができたなんて話しは聞いてないし、あいつがデートに行くのを見た事もないからさ」


わざと蘇芳の事を”あいつ”と呼ぶ。これだけ蘇芳と仲がいいんだと主張するようだが実際仲はいいんだから嘘を吐いたわけではないだろう。
これで篠宮の気も幾分かは削がれると狙っていたのに、逆に彼女は勝ち誇ったように高笑いしただけだった。


「蘇芳くんがデートに行くのを見た事がないですって?なら、あなたにも内緒で付き合ってるのよ。ほら蘇芳くんって秘密主義な所があるじゃない?」
「…知ったような口利くんじゃねぇよ」


ぼそりと呟いた声は風に乗って篠宮の所まで届いたようだ。顔に浮かんだ笑みが張り付いたような笑みに変わっていたからだ。


「な、なんですって?」
「知ったような口を利くなって言ったんだよ。だいたい蘇芳のなにを知ってんだよ」
「っ!?た、誕生日だって血液型だって星座だって知ってるわ!」
「パーソナルデータじゃないか。そんなの少し親しい人間なら興味を持てば誰でも知ってるよ」
「住所だって彼の癖だって口癖だってバイト先も性格も行動パターンも知ってるわ!」
「…ほとんどストーカーだよ」


今の言葉は風に運ばれなかったようだ。
すべてを出し切った篠宮が、はぁはぁと荒い息を吐いてその細い肩を上下させている。その瞳の端に浮かぶ透明の滴。涙だ。


「ほんとに…あなた一体、蘇芳くんのなんなの?恋人のつもり?」


ざあぁっと強い風が俺と篠宮の間を通り過ぎた。その一瞬のうちに風に捕らわれた篠宮の涙が零れ落ちる。


「気持ち悪いわ。男同士なんておかしいわよ。そんな目で蘇芳くんを見ないで!陽の下歩けるような関係じゃないでしょ。――っ、蘇芳くんは私のなんだから!!」


篠宮の言葉が深々と突き刺さる。今にも赤黒く流れ出す血が服を染め汚しそうだ。ずきずきと血を流し続ける心臓を取り除きたい。
目の前に立つ篠宮は小柄で可愛くて守りがいがある。 被害妄想というか自己主張というかとにかく、玉に瑕って事に繋がる要素があるが全体的に見て男がほっとかないタイプの女だ。
だけど俺は?小柄ってわけでもないし、可愛げもあるわけじゃない、いざという時に思った事を口に出す事もしない内気な男だ。 蘇芳が本当に俺を好きなのかって、相手を信用しきれていない卑屈な男。
色々と湧き上がる考えに邪魔されていた俺は、篠宮が頬に流れた涙を拭った事にもそして深く沈み込む俺を嘲笑うかのように肩に落ちた髪を払った事にも気付かない。
顔に落ちる影がさらに濃くなった事に漸く気付いて俯けていた顔をあげると、やけに清々した四之宮がいた。俺を撃沈させる目的が達成できたからだろう。


「…もし、あなたが私と蘇芳くんの仲を疑うなら、4日後の蘇芳くんを尾(つ)けてみるといいわ。そしたら信じられるでしょう?」


余裕を見せ付けるように笑顔まで浮かんでいる。
すべては4日後、日曜日にはっきりする事だ。疑う事は蘇芳を裏切る事にも繋がる事だとわかっていても、どうしても確認しておきたかった。
ゆっくりと篠宮の言葉に頷く。
彼女はすぐに俺に背を向け鬱蒼と暗い裏庭にさよならをした。 無防備に映る背中を見て「敵に背中を見せる事なかれ」なんて言葉が浮かぶが、こんな落ち込んだ気持ちでは笑う気にもなれない。
話し込んで早30分。手元の時計の針は文字盤の2を少し過ぎた所だ。
肩に掛けた重い荷物に足を取られそうになりながらなんとか家を目指した。






気がついたら蘇芳の家にいた。
広くはないがゆったりとしたリビングのソファーに座り、見てもいないのにテレビに視線を向けている。意識だけは隣に座る蘇芳に集中している。
精悍な顔つきを見て改めて蘇芳という男を見つめる。
男なら誰でも憧れる長身にそれに見合った長い足、睨まれれば蛙のごとく硬直してしまいそうな瞳によく通った鼻梁と固く結ばれた唇。見惚れる程にいい男だ。
そして篠宮。
2人が並べば街行く人が羨望の眼差しで振り向くだろう。篠宮なら蘇芳と街を歩いても堂々とできるし、なにより人目を憚るような関係ではない。
それに比べて俺は……。
知らず吐き出された溜息に蘇芳が反応する。


「どうかしたのか?」


さらりと長い指で俺の髪を弄る。それだけなのにいちいち心臓を跳ねさせて顔を赤く染めてしまう。


「あ、あのさ…」
「うん?」
「日曜日、暇?」


蘇芳の腹の中を探るようにじっと見つめて、言う。
ここで頷けば篠宮とはなんでもない関係だと自分を納得させるだろう。もし首を横に振ったら―――。


「いや悪いけど、日曜日は用があるんだ」
「……その日じゃなきゃだめなの?」
「あー、うん。友達と買い物に行く約束があるから」
「…わかった」
「ほんと悪いな」


綺麗な柳眉を下げ、すまなさそうに謝る蘇芳に大丈夫だよと声を掛ける。
その代わり、と初めて俺から誘ってみた。
隣に座っていた蘇芳の腿の上に乗り上げ、首に手を回して顔を近づけた。


「シよ?」
「――どうかしたのか、マジで」
「なんでもないよ。それとも俺としたくない?」


計算ずくの表情を浮かべて、わざとらしく濡れた音を立てながら蘇芳の唇を吸う。蘇芳に習った必殺技だ。 行為の前にやったら必ずオチるから、と言っていた言葉通り、蘇芳は「まさか」と呟くように笑って俺の首元に顔を埋めた。






熱気の篭った室内に2人の息遣いとソファーの軋む音が響いている。
1度蘇芳の膝に座り込みながらして、その後は蘇芳に押し倒されるに任せた。細長いソファーを男2人で使うととても小さく感じられる。
今は俺が下になって向き合うように体を合わせている。


「んッ…」


蘇芳が腰を引くたびに中の圧迫感が薄まるが、すぐにまた最奧に熱を感じる。
何度回数を重ねたとしても慣れる事のないぴりっとした痛みが3割と、その痛みさえも忘れてしまいそうな快感が7割。 その波が押し寄せるたびにぎゅっと寄せていた眉間の力を抜くと同時に、薄っすらと目を開けて蘇芳を見た。
適度に焼けた肌がほんの少し上気し汗ばみ、はっと吐き出される吐息が普段の澄ました顔よりもなお色っぽい。
首に回した腕にさらに力を入れて蘇芳を引き寄せた。


「は……んぅ…あっ」
「イイか?」
「んっ!…い、い…っあ………も、っと…」


途端に蘇芳のものがさらに質量を持ったのが分かった。普段言わない言葉だけに蘇芳も驚いたようだ。俺自身、何故こんな言葉が出てくるのかわからない。 けれど快感に流されるままに言葉が出てくる。
押し付ける熱がより深くなり、俺と蘇芳の鼻息も自然と荒くなる。
俺の膝を抱えていた蘇芳の右手が前に伸びてきて、すっかり勃ち上がった俺のものを擦りあげる。絶頂を2人で一緒に味わう。


「っ、んぁ……あぁぁ―――」
「―――っ」


どくんと蘇芳が震える。その直後に感じる吐き出された熱。
引き出される感触にぶるっと振るえ敏感な体が反応するように蘇芳を締め付けた。蘇芳の動きが一瞬止まるが、それでも俺に軽くキスをして自身を抜いた。
くたっと疲れて伸びる俺に背を向けてバスルームにタオルを取りに行った蘇芳の背中を見つめる。 さっき俺が誤って引っかいた掻き傷以外はなにもない引き締まった背中だ。
その事にほっとする。
額に腕を乗せて息を吐いている俺の体を丁寧に蘇芳が拭っていく。 首筋と鎖骨、それから脇腹と太腿に広がる鬱血の後を蘇芳の手とタオルが過ぎるたびに身を捩るように唸る。キスマークの跡は、一際俺が敏感な部位だ。


「ンッ!」
「相変わらず敏感な体だな」
「……人をインランみたいに言うなよ」
「褒めてるんだよ。でもまさか夾から誘う日が来るとは夢にも思わなかったよ」
「イヤ……ぁっ…ん、だった?」


蘇芳の指がさっきまで繋がっていた奥に入っていく。傷つけないようにゆっくりと優しく掻き混ぜ、白く濁ったものが代わりに吐き出される。


「まさか、嫌だったらしてないって。ビックリしただけだ」
「俺も人間だから三大欲求には逆らわない事にしたんだよ」
「なんだよ、それ」


くっくっと蘇芳が笑う。
その笑みがあまりにも蘇芳の性格を表すような笑みで、どきりとしてしまった。あ、いや、どくんとしてしまった。つまり…その部分が。
頭を擡げ始めた俺をじっと見つめて、にやりと笑った蘇芳が体を拭いていたタオルを放り投げて再び俺に覆い被さってきた。


「ちょ、蘇芳!せっかく綺麗にしたのにっ」
「また拭けばいいさ。それに人間の三大欲求には逆らわないようにしたんだろ?」
「そ、だけど…あっ…」


既に2回もした後だけあって、流石にキツい。
だが蘇芳はお構いなしに解れた後ろに、いつの間にか反応を見せた自身を押し込んだ。
かくして第3ラウンドは始まったのだ。


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